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のんびり散策北麓路:吉田口登山道

吉田口登山道浅間神社から馬返し

富士山の登山道は平成の現在、山梨県側には吉田口登山道、河口湖からスバルライン、精進口登山道があり、5合目からは吉田口登山道に合流する。そのうちの1つ吉田口登山道は現在河口湖からのスバルラインに人が集中し、閑散としている。しかし、それだけにゆっくり散策するのには最適な散策ルートである。ここでは、富士吉田駅から北口本宮浅間神社を経て、中の茶屋、馬返し、五合目までを紹介したいと思っている。第2弾として浅間神社から馬返しまでを紹介する。
(4)浅間神社登山門〜泉水

大塚

浅間神社の「富士北口登山本道」にある鳥居(登山門)を出ると赤松の林が続く。これを諏訪の森と呼ぶ。登山門から200m進んだ左側に小さな小山がある。遊園地にあるジャングルジムよりちょっと大き目の小山だ。これを「大塚」と呼び、頂上に小さな祠が祀られている。昔日本武尊がここから富士を遥拝した場所と伝えられている。大正時代頃の大塚周辺は現在のように松がなく、富士山を裾野まで眺めることができたが2003年現在は松林にさえぎられてここから富士山を見ることはできない。日本武尊がいた昔も松林など背の高い林が無く、富士山を遥拝できたのだろう。

旧「富士山自動車」道路

大塚の道向かいに現在も「富士山自動車」の敷地を現す看板が立っている。大正時代から昭和中期、吉田口登山道の最盛期はここ(浅間神社裏)から馬返しまでバスが通っていた。富士吉田駅からここまでは送迎車がでていたと思う。昭和4年度の富士山北口合同組合の「登山の栞(しおり)」には浅間神社裏から馬返しまで1人1円20銭(下り1円)とでている。このとき大月−富士吉田間の電車賃は70銭だった。現在の吉田口登山道と平行してその道路が走っている。舗装していないので、雨で荒れ果てているが、当時の様子を少し残している。舗装道路は自動車が通り、登山道として危険なので、この旧自動車道を歩行者専用の登山道として整備することに期待の声が上がっている。左の地図は富士山自動車と船津口登山道の有料バス路線(5合目まで)を表示した昭和30年頃の観光案内地図の一部。

パインズパーク

大塚を過ぎると、左手に小さな路地があり、その奥に秀年窯がある。富士北麓の土を素材に焼物を作っている。その路地を突き抜け、舗装道路を横切り少し進んだ左側に石の彫刻や石材が目に付く。石の彫刻家浜田さんの工房だ。富士北麓には、このような芸術家が多くの工房をもち芸術作品を創作している。秀年窯の入り口を過ぎ吉田口登山道を富士山に向かう。約400mで左手に芝生の広大な公園、富士パインズパーク(諏訪ノ森自然公園)がある。昭和後期にできた公園で、芝生公園と赤松林の遊歩道がある。この公園からの富士山はお勧めの1つだ。富士山のビュースポットは2ヶ所あり、1ヶ所は芝生の手前から富士山を見る場所(下の写真)、もう1ヶ所は遊歩道の池手前から富士山を見る場所だ。ここからは逆さ富士を見ることができる。写真を撮るのには朝がお勧めだ。太陽が左後方から差し込み順光になるからだ。雨上がりの朝はカメラ片手の人が必ずいると言ってよいスポットになっている。土日には子連れの家族で賑わう。自然に親しめる市民の公園となっている。最近は富士桜の咲く5月の連休はじめにここで新緑祭りが行われる。初夏、春ゼミがうるさい場所でもある。春ゼミは松林を好むセミで吉田口登山道の両脇では、このセミが鳴き始めると野鳥の声がかき消されてしまう。夏らしい装いにはなるが、野鳥観察にはわずらわしい響きだ。公園内の遊歩道では山野草も楽しめる。水道もトイレも整備されているので、お弁当を持って出かけてみると良い。しかし、富士登山にはここでの休憩は早すぎる。先へ急ごう。

「泉水」(せんずい)湧水口

パインズパークを出て富士山に向かうこと900mで登山道の上空を高速道路が横切っている。河口湖から北富士演習場を横に見て須走りへ抜ける東富士五湖道路だ。これを抜けて700m進むと左に小さな枝道が分岐している。泉水の入り口だ。(「泉瑞」と標識には記載されている。いろいろな漢字が使われている。)乗用車1台が通れる程度の道だが、大雨の後などは道路がえぐられ、普通の車では通れない時もある。常に整備はされているが通れないと思った場合は入らないほうが良い。入り口から700mで泉水だが、700m直前で左にさらに分岐している。表示はあるが、見落とすと先は演習場まで続いている。演習場への道は平日途中で通行止めになっている。泉水への分岐を見落とさず左に入るとすぐに鳥居や小さな祠が見える。道の先が窪地になっていて水道の蛇口が地上に伸び、途切れることはなくボトボトと水が出ている。泉水の水源だ。土日だけでなく平日でも誰かが水を汲みに来ている。湧水マニアには有名なスポットなのだ。

泉水は「源頼朝公の矢水」と呼ばれ、大昔から湧水として活用されていたようだ。明治、大正時代頃だろうか、ここには小さな池があり、泉水池と呼ばれていた。そのことからすると、やはり水源としては細くなっているようである。最近では忍野八海も湧水量が少なくなっていると心配されるように、富士山周辺の湧水量は全体として減少傾向にある。雨量は特に少なくなっているようではないので、湧水以外の水との配分が変化したことによるのだろう。

富士登山する場合はここに立ち寄る必要はないが、北麓を散策する場合は、ここに立ち寄り、さらに南に入ったところにある「雁の穴」や、北富士演習場を散策するルートもお勧めだ。

○01富士吉田駅→金鳥居 ○02金鳥居→はなや ○03はなや→浅間神社 ○04浅間神社→泉水 ○05泉水→馬返し 
                                                     
(本文)
○06馬返し→鈴原神社 ○07鈴原神社→五合目 ○08五合目→六合目 ○09七合目 ○10八合目→山頂
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