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富士山の樹海を満喫する

        精進口登山道を歩く(2)

  7月1日〜7月29日富士河口湖町生涯学習館にて「富士山と精進口登山道の歴史と自然展」開催中    
精進口登山道の標識に注意

精進口登山道には左のような親切な標識が設置されている。
しかし、ちょっと注意が必要だ。それは「起点より〇〇Km」の表示だ。上左の2合目の表示は「起点より8.02Km」、上右3合目の表示は「起点より5.62Km」そして下中の5合目では「起点より1.65Km」と赤池の出発点から登るとだんだん短くなっているのだ。
起点は吉田口登山道との交差点付近だろうか未確認である。
ちなみに、精進口登山道入り口の赤池の表示には「終点」と表示されている。
左下のように要所には全体図も出ているので、踏破して詳しく見ると、起点が5合目付近だと理解できるが、登山道としては下から〇〇Kmとか、五合目まであと〇〇Kmの表示の方が分かりやすい。私は最初途中の林道から入ったので、起点を赤池と考えてしまっていた。

二合目にある表示
「起点より8.02Km」
三合目にある表示
「起点より5.62Km」
精進口登山道五合目駐車場の表示、左の赤枠を拡大したのが上中央の写真
「起点より1.65Km」実際の起点は、写真右のお中道を進んで吉田口登山道との交差付近だろうか。写真撮影は6月のため通行止めで起点を確認できなかった。
樹木の垂直分布が分かりやすい精進口登山道

精進口登山道は国道139号線赤池の登山道入り口(山地帯、標高913m)を入ると、すぐに青木ヶ原樹海で上の写真のような森の中に入る。ここには樹齢300余年といわれるツガ、ヒノキ、ハリモミなどの高木が生い茂り、溶岩に根を絡ませている。その溶岩は緑のじゅうたんのようなコケに覆われ異界を見せてくれる。
波打つような溶岩原野を貫く精進口登山道は、その波にあわせて緩やかに上下を繰り返しながら標高を上げている。赤池から4.5Kmで鳴沢村から富士ヶ嶺(ふじがね)に通じる通称開拓道路と交差(標高1102m)する。富士風穴を過ぎると大室山へ入る道との分岐があり、精進口登山道の案内板に従って進むと周囲の樹木が一変する。
大きなブナが増えてきて、足元のコケはクマザサ(スズタケ)に変わる。
青木ヶ原樹海を抜けて、樹齢がもっと古いブナの原生林に入ったのだ。

↑青木ヶ原樹海
二合目:ブナの原生林
登山道は上下の繰り返しがなくなり、上り一辺倒になる。火山灰の積もった斜面を掘り下げて造ったのか、左右にはさらさらとした砂礫の地層があらわになっている。樹木の根が地表面にはっている様子が良く分かる。長尾山を抜けると鳴沢林道と交差する。(標高は1357m)富士山に向かって左に天神山、右に弓射塚(ゆみいづか)。ここは登山道に沿って多くの穴がある。いつも氷があるからだろうか1つは氷穴と呼ばれている。その下には七つの池と呼ばれ下から鬼神、魔神、恐龍神、野頭の池と名がつけられている(鳴沢村言い伝え)ようだ。
最近の研究ではここは噴火口が列を成している火口列で大小30以上の火口があると発表されている。(富士砂防事務所報告書)そんな影響からか、ところどころで、溶岩の大きな固まりが露出して道全体を覆っている。弓射塚はその昔、富士の巻狩りで弓の大会をしたと伝えられている。
火山灰の地層を掘り下げた登山道(三合目下)
弓射塚を過ぎると登山道は角度を増してくる。富士林道と交差する二合目では標高が1527m、亜高山帯に差し掛かってくる。カラマツ、モミなどが目立ってくる。ゴヨウマツ、ウラジロモミなどの針葉樹が増えてくる。スバルライン三合目のバス停(標高1685m)と交差する頃になるとブナもスズタケも姿を消す。
スバルライン三合目から三合目のロータリー(標高1787m)の間の登山道に敷かれている小石は、良く見るとみんな溶岩で、中には溶岩弾もある。精進口登山道で溶岩弾が確認できたのはこの場所だけだが、もともと登山道開削でここにあったものか、それとも他の場所から持ってきてまいたものなのか不明だ。溶岩弾は噴火口からそれ程遠くに飛ばないので、もともとここに在ったものならすぐそばの桟敷山のものだろうか。いづれにしても溶岩弾が発生するような爆発的噴火があった証となる。
三合五勺のカラマツ林に入ると、見事なまでに垂直に伸びたカラマツが天をおおう。山梨の森林100選の看板がある。
なぜか、このあたりの登山道だけ木屑が敷き詰められている。
三合五勺カラマツ林
四合目にはつぶれた建物が無残な姿で残っている。(標高2053m)ここから五合目駐車場(標高2289m)までは九十九折の登山道になる。途中一ヶ所雪代(ゆきしろ)による道路崩壊ヶ所があり、ちょっとした迂回がある。夜間登山する場合注意が必要だ。
五合目に近くなると、シラカバが目立ち、ハクサンシャクナゲ、コケモモが現れる。7月中旬シャクナゲの花は満開で足元には白い可憐なコケモモの花がじゅうたんのように咲きほこっていた。梅雨明けの五合目は、この他にもベニバナイチヤクソウなど可憐な花が楽しめる。五合目から上は高木がなく、火山砂礫に這いつくばるようにオンタデ、フジイタドリなどが咲く。
頭上を見上げるとすぐ手の届きそうな場所に山頂らしき三角形の頂点が迫っている。オンタデなどの黄色や緑は山頂に向かってグラデーションのように薄くなり、山頂は赤茶けた砂礫の色一色となる。
五合目駐車場は人、人、人の波で登山道の静寂がうそのようだ。
空が広がる五合目下、シラカバやミヤマハンノキが目立つ

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