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富士山の樹海を満喫する

        精進口登山道を歩く

  7月1日〜7月29日富士河口湖町生涯学習館にて「富士山と精進口登山道の歴史と自然展」開催中    
樹海を縦断する富士登山道:精進口登山道

精進口登山道は富士山の登山道としてはあまり紹介されていないので、ここから山頂を目指す人は少ない。しかし、現在も整備されていて富士山頂まで歩いて登ることができる富士登山道の一つなのだ。一方、登山道の周辺に多くの自然観察できるところが多く、自然観察に訪れる人は多い。一番の見所は青木ヶ原樹海だ。精進口登山道の入り口「赤池」を入るとすぐに樹海となり、異界に入り込んだ気分になる。鳴沢村から富士ヶ嶺に通じる県道71号線(富士宮鳴沢線)から入るとすぐに富士風穴や大室山のブナ自然林を観察できる。
また、大室山、長尾山、片蓋山、天神山など富士山の側火山が密集しているので、登山道はその側火山の間を縫うように登っているのも特徴的だ。
三合目まで車道がいくつも横切っているので、車で近くまで行って、簡単に短時間で各登山道の途中の雰囲気を楽しむこともできる。今年の夏の散策を楽しめる富士登山道だ。

精進湖近くのパノラマ台登山道途中から見た富士の麓に広がる青木ヶ原樹海(中央の黒い小山が大室山、精進口登山道はこの山の左側を通っている)
神秘の樹海を貫く精進口登山道

青木ヶ原は富士北麓に広がる溶岩の上に1100年以上の歳月をかけてできた樹海だ。昼尚暗く、迷い込むと出てこれないこともあり、毎年行方不明者の遺体が発見される不名誉な記録も持っている神秘の樹海でもある。
精進口登山道は、こんな青木ヶ原を縦断し精進湖から小御岳神社のある五合目を結ぶ、比較的新しく開墾された登山道だ。(大正12年開設)

明治28年には早くも精進ホテル開設

精進湖は日本でも早い時期に外国人から注目された場所だ。明治28年英国人ハリィ・スチュアート・ホイットウォーズ(後に帰化して「星野芳春」)によって精進ホテルが創設されている。そのため早くから外国人を含む観光客が大勢おとずれていた。(参考:精進湖ホテル発行「富士五湖遊覧の栞」S6)

富士風穴は蚕種貯蔵庫として利用されていた

精進口登山道が開設される以前から赤池−大室山間の道はあったが、これには明治13年に発見されたと言われる富士風穴からの氷切り出しや蚕種貯蔵庫利用の影響が大きい。甲府舞鶴城跡に碑のある八田氏が明治25年以降富士風穴内で八田館を作り、蚕種貯蔵を行い、県内の蚕業に大きく貢献したといわれている。(参考:上九一色村誌)

赤池−小御岳間18Kmの長い登山道

精進口登山道の起点は、このような歴史を持つ精進湖畔近くの赤池から始まる。赤池は国道139号線で精進湖に入る三叉路の近くにある。ここに消防署(上九一色分遣所)があり、その脇を樹海の中に進む道が登山道入り口だ。登山道は、ここから県道71号線(開拓道路)、鳴沢林道、富士林道、スバルラインと交差して五合目小御岳神社近くに進み、お中道の横道を通って吉田口登山道六合目に合流、山頂の久須志神社を結ぶ総延長25Km余り(赤池−小御岳間は18Km)の登山道だ。距離が長いため登山道としては当初からあまり利用されていなかった。現在も富士登山に利用する人は少ないが自然観察ツアーの団体客が多く見られる。

樹海観察には最適な登山道

青木ヶ原樹海を切り開いて縦断する精進口登山道は、他のどの富士山登山道よりも樹海観察に適している。赤池を入るとすぐに樹海のすさまじい様子を見ることができる。樹海は一合目の鳴沢林道手前の大室山付近まで8Km程続いている。
樹海は西暦864年の貞観の噴火による溶岩流の上に1100年余りかけてできた樹林がまるで樹木の海のように見えることから名付けられたようだ。精進湖口登山道を入ると、道路を切り開いた溶岩の断面があらわに露出している。その溶岩の隙間を這うように樹木の根が絡みついている様子が分かる。樹木の根は地中深く入ることができないので、地表近くの溶岩のわずかな隙間を横に這うように伸びている。その根を覆うようにコケが張り付いている。
土は殆ど無い。溶岩は穴だらけで、ちょっと手を添えるとボロッと壊れそうだ。良く見ると、多くの倒壊した樹木が横たわっている。
遠くから見ると、樹海はがっしりとした樹木の森に見えるが、一本一本の樹木は非常に軟弱な足元になっていて、お互いの樹木が集まって、なんとか森を形成している様子が手に取るように分かる。
1100年以上の時間をかけて自然が形成した若い森、それが樹海なのだ。

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県道71号線付近の登山道(2002年撮影)
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